一度は試していただきたい!
なんか、ナ○リのおつまみのネーミングみたいですが、フルマラソンのペースのお話です。
私の住む北海道はこれより雪が積もりオフシーズンとなりますが、本州以南はむしろこれから本格的なマラソンシーズンに突入します!
フルマラソンの本命大会が控えている方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか?
完走、サブ4(4時間切り)、サブ3(3時間切り)、様々な目標を掲げて練習に取り組まれていることと思います。
そして、必ずその中でも議題となるのがペース配分。
今回はフルマラソンのペース配分についてとなります。
この議題は様々なエリートランナーが語られているので、何をいまさらと言ったところがあると思いますが、サブ4~3.5近辺の私の経験談としてご覧いただければと思います。
ペース配分の概念について
ペース配分については大きく分けて3つです。
ポジティブスプリット
前半貯金型のこと。体力のある前半にペースを上げて貯金を作り、
後半はペースが落ちたとしても最小限の失速にとどめるように粘る作戦のこと。
ネガティブスプリット
前半はややゆっくり目に入って体力を温存し、
後半になってからペースをあげる作戦のこと。
イーブンペース
最初から最後まで一定のペースで完走すること。
この中でもっとも効率的かつ安全な作戦は、イーブンペースです。
一定のペースで走ることが出来れば、疲労も最小限で済みます。可能であれば、イーブンペースで走ることが良いことは言うまでもありません。
しかし中々そうはいかないのがフルマラソン。どうしても、大会の高揚感や様々な要因で前半にペースが上がってしまうもので、イーブンを維持することは並大抵のことではありません。
ランナーの8~9割はポジティブスプリット
過去の大型大会を紐解いて見ても、ほとんどのランナーは前半の方がタイムがよいです。
ただし、ポジティブスプリットにも私は2種類あると思っています。それは何かと言うと、
意図的なポジティブスプリット
例えば、サブ4を達成するために必要な平均タイムはキロ5:40。
30km以降の失速を見越して、キロ5:20くらいからスタート。後半キロ6:00程度まで失速しつつゴールする計画。
結果的にポジティブスプリット
同じく、サブ4を目指すランナーが、イーブンペースを計画してキロ5:40でスタートしたものの、足が持たずに結果的に失速した場合。
ポジティブスプリットに誘われる多角的な要素
さらに、市民ランナーがポジティブスプリットになる理由は他にもたくさんあります。
折角の大会だから
市民ランナーがフルマラソンの大会に出場する機会はそれほど多くありません。
大会参加費も安くはないですし、出場のための練習やスケジュールの確保。スタート地点に立つだけでもそれ相応の労力を費やしています。
そして、せっかく大会に参加するなら良い記録を出したいもの。
例えば、自己ベストが4時間5分くらいとしてサブ4を目標に掲げていたとしましょう。
フルでサブ4狙いと言うことは、ハーフマラソンの記録は1時間40分~1時間55分。
スピードタイプのランナーの方なら、ハーフマラソンはすでに1時間45分(平均キロ4:58)と言う方もいらっしゃるでしょう。
そこで、その人はこう考えます。
21kmをキロ5で走る走力があるのだから、サブ4は当然狙うし出来ることならそこから少しでもタイムを延ばしたい。
ポジティブスプリットには、目標タイム+αの甘美なご褒美があります。
「サブ4目指して走ってたら、調子が良くて3時間50分も切っちゃったよ。」それは、ランナーにとって至福の瞬間です。
つまりポジティブスプリットに用意されている結果は3択。
①計画通りに記録達成
②計画以上に後半失速し、失敗
③計画通りに前半貯金し、後半も予定よりも失速しない
大きな可能性が残されたうえでレースを展開することが出来ます。
それに対してネガティブスプリットにはそれがありません。前半は体力を温存するのですから、
①計画通りに記録達成
②計画が破綻し失速
計画以上の記録を出すためには、後半の加速部分を延ばすしかなく、フルマラソンでそれがいかに非現実的であるかは経験を積んだランナーであればあるほどわかっているものです。
スタートロスや給水
そこにさらに、要素が加わります。
グロス(号砲計測)にこだわるなら、スタートからすでに数分遅れになることもあるでしょう。
1分遅れれば、キロ1.5秒のロスになります。
都市型大会であれば、サブ3.5狙いで2分(キロ3秒)、サブ4狙いで5分(キロ7.5秒)のハンデを最初から背負うことになります。
また、最初の数kmは渋滞です。そこで、意図せずにスピードに乗れなかったら、渋滞解消したとたんに後れを取り戻したくなるはずです。
そして、普段はやる機会の少ない給水もあります。サブ4狙いであれば、歩きながら給水と言うことはあまりないと思うので、走りながらとは思いますが、そもそも給水ポイントが混雑している可能性だってあります。
様々なロス要因を加味した結果、最初に貯金を作って、後半余裕を持って走りたい。
そう思ってむしろ当然なのです。
ポジティブスプリットのメリット
前述のとおり、大きな可能性を残して展開することが出来るポジティブスプリット。
こちらの作戦はむしろオーソドックスであり、多くのランナーに採用される作戦です。
もし後半粘り切れる自信があれば、全然ありな作戦と思っています。
実際に私はこの作戦で3時間33分まで達成することが出来ました。ポジティブスプリットがハマって、自己ベストを大幅に更新することが出来たのは、2019年11月の「作.AC真駒内マラソン」でした。
●第6回作.AC真駒内マラソン(2019.11)
この時の私の自己ベストは、
2019.5 洞爺湖マラソン 3:54:56
2019.9 美唄ハーフマラソン 1:37:12
2018.10 北海道すこやかマラソン 44:04
目標は、3時間50分切り。直近のハーフマラソンでも自己ベストを達成し、調子もよく3時間50分切りに自信を持って臨みました。
3時間50分の巡行ペースはキロ5:30。直近のハーフマラソンをキロ4:35で巡行した自信もあり、大幅に前半に貯金作る計画でした。
5kmごとの結果は、5:07–5:14–4:58–5:00–4:58–5:02–5:06-5:30、残り2km5:48。
記録は3:36:36
自己ベストを18分更新する、大躍進となったのです。
35kmの壁にぶつかり、失速こそしたもののそれを補って余りある貯金を残してゴール。
そしてこの成功体験こそが、翌年の失速に繋がっていきます(笑)
ポジティブスプリットのデメリット
デメリットは何と言っても、前半に足を使い切って後半に体が持たなくなる場合です。
前年に3時間36分を記録した私は、翌年以降の目標をサブ3.5(3時間30分切り)に定めて、練習を重ねていました。
この年は、2020年。新型コロナウィルスが蔓延し、マラソン大会の開催が限られていた時期です。
そんな中でも、開催される小規模中規模大会を見つけて、2回参加しました。
サブ3.5に必要な巡行ペースはキロ4:58。ハーフマラソンの自己ベストは当時キロ4:35でしたので、ペースだけ取ってみれば不可能ではありませんが、いかんせん後半にキロ4分台を出せるとは思えず、やはり前半貯金に舵を切ることになります。
その結果がこちらです。
●豊平川TRIALマラソン(2020.9)
この時の私の自己ベストは、
2019.11 作.AC真駒内マラソン 3:36:36
2019.9 美唄ハーフマラソン 1:37:12
2018.10 北海道すこやかマラソン 44:04
目標はサブ3.5。
5kmごとの結果は、4:42–4:45–4:44–4:44–4:46-5:03-5:26–6:28、残り2km6:43。
記録は3:39:21
この時のことは今でも鮮明に覚えています。25km地点くらいですでに息も絶え絶えとなり、足も重い。
ハーフの自己ベスト+10秒のペースで前半を走っているのですから当然です。
35km地点からは両足が攣り、残り7kmは本当に苦行でした。
結果的に、前半飛ばしたにもかかわらず、後半の大失速により前年よりも記録を落としたことになります。
ただ、この時は9月で気温が高かったことやアップダウンが結構きついコースだったこともあり、前半貯金作戦にそれほど疑問を抱くこともありませんでした。
●作.AC真駒内マラソン(2020.11)
この時の私の自己ベストは、
2019.11 作.AC真駒内マラソン 3:36:36
2019.9 美唄ハーフマラソン 1:37:12
2020.10 さっぽろあおぞらマラソン 41:57
目標はサブ3.5。
9月は失速しましたが、同じく前半貯金作戦で臨みました。
5kmごとの結果は、4:40–4:51–4:41–4:49–4:42-5:07-5:24–5:55、残り2km5:25。
記録は3:33:10
サブ3.5に届かなかったものの、自己ベスト達成です。そうゆう観点から見れば、完全な失敗とは言えませんが、結局のところ豊平川とまったく同じレース展開。
25km地点で足が売り切れ、あとはひたすら失速の苦行となってしまいました。
以上のように、ポジティブスプリットは大きな結果を得られる可能性がある一方でリスクもはらんだ作戦と言うことです。
ただ、フルマラソンを走れる機会は年に数回。それなら、大きなリスクを取ってでも、挑みたくなりますよね。
ネガティブスプリットのメリット
ネガティブスプリットはその点、後半余裕を持って走ることが出来ます。
ただ、これはとても勇気の必要な作戦です。
なぜなら、前半温存したところで、結局後半も失速する可能性が0ではないから。
フルマラソンは長距離です。どんなに熟練のランナーでも疲労しないはずがありません。だからこそ、ほとんどのランナーは疲れていない前半に貯金するのです。
そこを敢えて、ゆっくりスタートするということは、最初から大成功を捨てて、確実な成功を狙う作戦です。
それを年に数回しかないチャンスで選択できるか、その一点につきます!
私は前年2回の大失速を踏まえて、前半貯金を捨てました。
●洞爺湖マラソンオンライン(2021.5)
この時の私の自己ベストは、
2020.11 作.AC真駒内マラソン 3:33:10
2019.9 美唄ハーフマラソン 1:37:12
2020.10 さっぽろあおぞらマラソン 41:57
洞爺湖マラソンのオンラインにエントリー。北海道の有名ブロガー、「スタートラインはどこですか」のシブケンさんのお誘いで厚別競技場の外周を一緒に走りました。
この時は、サブ3.5のペースで一緒に走ってくださる方もいて、ここで前半貯金を崩して走ることにチャレンジしてみたのです。
オンラインですが、時計は止めず給水も時計を動かしたままです。
5kmごとの結果は、4:55-4:57-4:56-4:54-4:56-4:53-4:51-4:49、残り2km4:42
記録3:26:39
ここにオンライン大会ながら、サブ3.5を達成しました!
とにかく、25~30km地点を迎えた時の感覚が全然違います。残り12~17kmなら、なんとか行けるだろう。そう思えたのです。
マラソンはメンタルのスポーツ!マラソンの後半は体もさることながら、気持ちに余裕があるかどうかも大きな要素と思います。
その後ネガティブスプリットに大きな手ごたえを得た私は、フルマラソンにおいてはすべてネガティブスプリットで臨むようにしています。
そして、その結果は成功することもあれば失敗もあり(笑)結局のところ試行錯誤しています。
ただし、どの失敗したレースも含めネガティブスプリットが失敗したというよりは、レース時の実力を見誤った結果前半貯金よりもオーバーペースになって失敗した。方が正しいのかなと思っています。
たらればになってしまいますが、仮にポジティブスプリットで挑んでいればさらに失速していただろうと自己分析しています(笑)
結局のところ、前半のペースで言えば、キロ15秒程度しか変わりません。
ただ、この15秒が後半を大きく左右します。
もし、前半貯金のレースで後半失速してしまうことが多い方はぜひ騙されたと思って一度試していただきたいです!
●ポジティブスプリットもネガティブスプリットも一長一短
●記録更新に行き詰った時、一度いいからネガティブスプリットを試し欲しい
●前半貯金→後半失速を恐れずに!!
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!